生還者 下村 敦史(著) 講談社文庫 720円 平成29年7月14日(2017年) 初版発行

事故か他殺か?ヒマラヤで兄が亡くなり2人の男が奇跡の生還を果たす。しかし、その証言は真っ向から食い違う。
雪崩で死亡した兄の遺品を整理するうち、増田直志はザイルに施された細工に気づく。死因は事故かそれとも・・。疑念を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が生還を果たす。真相を確かめたい増田だったが、二人の証言は正反対のものだった!ヒマラヤを舞台にいくつもの謎が絡み合う傑作山岳ミステリー。
 
下村作品は2冊目となるが、前作同様に期待を裏切らず実に面白い。他の作品については、まだ未読であるが山岳ミステリーの分野では最近の出版物として群をぬいているようにさえ思える。
山を題材にした描写の素晴らしさはもちろんのこと、読み終えた後の余韻が心地よく、男と男、男と女との人間味が実に程良く織りなし、次の作品を早く読みたい衝動に駆られる。

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週末起業チュートリアル 藤井 孝一(著) 680円 ちくま新書 平成16年5月10日(第一刷発行)

サラリーマンのハートをがっちり鷲づかみにした前作「週末起業」。 出版後、多くの読者から「週末起業で成功する人はどこがちがうのか?」という問い合わせが寄せられた。 この問いに答える為に本書では週末起業をスタートさせる秘訣をチュートリアル(個別指導)する。 経済面と精神面、この2つの点で会社と決別し、真の「大人」をはじめよう。 サラリーマンが人生を取り戻すための革命的な一冊。
 
目次
はじめに
第1章 会社依存から卒業しよう
第2章 週末起業のマネー額
第3章 週末起業家の時間革命
第4章 ネットワークを手に入れる
第5章 週末コンサルタント
第6章 本業と週末起業の幸せな関係
おわりに
 
今から8年前に読んだ書の再読となる。その時の感想が「今の会社の危機的状況のなか、人員整理・リストラが当たり前のごとく断行される。今の私にあてはめて考えると身近な問題として浮上する。 これといったスキルもなく、会社の組織の一員として今まで来ただけに、明日会社がなくなったときのことを考えると、転職の場もなく家族を路頭に迷わすことは必定。 そんな中、この本に出会ったことは何か因縁めいたものを感じる。 脱会社、何の恩恵も受けぬ会社への見切りをつけ、自立への道を一刻も早く見つけねば、人生の終焉を迎えられない。」と・・・
 
今回読み返してみた感想として、
週末起業とはあるが、俗に言う副業推奨本である。今まで様々なこの手の本を読んで来たが、大方が副業するまでの意味に前半の大部分にに紙面を費やしている。この本も例外にもれず同様の書き出しで有った。読み手の望むもの、そこから先の何から始めるか?どのように始めるべきか?等の実践を模索しているのではないだろうか。しかし、この本にはそうした内容にはほとんど触れていない。目次にある時間革命にしても、革命というには大それたもので、どこが?と言わざる得ない。再読であったが、前回同様に重要個所の下線はひとつも引けなかった。

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野心家の時間割(人生の勝者となるために) 邱 永漢(著) PHP文庫 410円 昭和62年9月16日(初版発行)

人生において、充実した時間の使い方とはどういうことなのか?
著者はいう。それは、時間を効率的に使うことは、いかに価値ある使い方をしたかであり、寝食を忘れるほど夢中になれたかどうかであると。
本書は、時間やお金の生きた使い方、仕事の取り組み方等をユニークな視点から説き、野心あふれるビジネスマンに、充実した人生とは何かを提示するものである。
 
目次
第一部 野心家の時間割
 1、五分間で自分を売り込もう
 2、三分間スピーチで存在を示せ
 3、時間の短縮とはお金の節約のことだ
 4、拘束された時間を有効に使う法
 5、ベッドの中の時間は節約できない
 6、”職住近接”で合理化を実現すべし
 7、「寝食を忘れさせられる」ほどの仕事を探せ
 8、時間を充実させるには好きな仕事を探せ
 9、急がば回れ、裏街道がある
 10、何でも体験してビッグになろう
 11、時間に汚染されない鮮度の保ち方
 12、ヒマと貯金は先取りしてつくれ
第二部 野心家の生活術
 1、お金と時間の管理学
 2、仕事と住居の経済学
 3、男と女の政治学
 4、結婚の経営学
 5、転職の行動学
 
"
効率の良い人生の生き方は、自分の使った時間が自分の働きに応じた収入になって現れるようなシステムの中に自分をおくことであろう。
「収入」とういうコトバを「心の満足」というコトバに入れかえても、さしつかえない。働けば働いただけ自分の「収入」もしくは「心の満足」がふえるようになれば、働くことに楽しみが生ずる。集中的に売る時間をきめてしまい、その他の時間は自分の「心の満足」のために使用しようという気を起こすようになる。”
 
”若い時は使える時間をふんだんに持っている。時間と言うものは使っても使わなくても残しておくことができない。だからつい浪費してしまうことが多い。自分が計画した理想的な未来図に役立つことに使うのである。拘束された時間を集中的に使うことを身につけることができたら、やがて空いている時間が次第に浸食されて、ついに二十四時間あっても足りないようなスケジュールなっていくのである。”
 
”無駄な時間を節約するのは決心ひとつで、そんなに難しくはないが、節約した時間をどういう具合に配分するかが案外、難しい。”
 
”「時間のあまる生活をしている人」と、「時間の足りない生活をしている人」とは、同じ地球上に住んでいても、実は次元の違う世界に住んでいる人だといっても過言ではない。
「時間のあまる人」もいれば、「時間の足りない人」もいるかと、それは「寝食を忘れる」ような仕事を持っている人と持っていない人との違いなのである。
「時間」には客観的な捉え方のほかに主観的な捉え方がある。ありあまる時間を持った人の時間は大して値打ちがないが、不足して「寝食を忘れる」ほどになると途端に貴重品化するのである。”
 
”物理的な作業のことにばかり集中していて、主観的な、心理的な時間の使い方はほとんど無視されてしまっている。
人生は長ければよいということではなく、それだけの値打ちがあったかどうかという自分自身の評価の方が大切である。それと同じように、時間も効率的に使えば良いというものではなく、それだけの値打ちのあった使い方であったかどうかという評価が必要である。”
 
”経済現象を総花的にとらえ、それを数値で表現しようとする。割り切れない部分が出てくるとそれを無視して、数字だけでころがしていくから、しまいに実社会と全く関係ない高等数学の遊びに堕してしまう。”
 
著者、邱永漢は私が証券会社に勤務していた頃に、よく活躍していた人で台湾出身で実業家・作家・経済評論家・経営コンサルタントという肩書を持つ。株の名人で「金儲けの神様」とも呼ばれ、お金のことを書いている著書も多い。
今回、再読したもののそれなりに新鮮な部分もあったが、歳を重ねた今は当時の若い時と違い、また、時代も変わり価値観が変化しためかそれほどの感動は得られずであった。しかし、流石時代を読み取る先見の明は鋭く、若い人にはオススメの一冊である事には違いない。
特に時間の考え方、その時間を有効に使いこなす概念、将来の仕事への模索をしている人にはよい指針を与えてくれるだろう。世の中には様々な時間に関するハウツー本があり、その短縮方法を教えてくれる。しかしまずその時間の基本概念がしっかりしていないと誤った方向へ向かう。そのためにも基礎編としての必読書である。

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日本一貧弱で無料 みろく沢炭鉱史料館 福島県いわき市

住所:福島県いわき市内郷白水町広畑223
休み:なし
料金:無料
駐車場:30台~40台(無料)
TEL:0246-26-6282(みろく沢炭鉱資料館)
アクセス:JR常磐線内郷駅から車で7分
     常磐自動車道いわき中央ICから車で15分

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昭和30年代にこの炭鉱で働いていた渡辺氏が離職後、平成元年に自力で炭鉱の写真・採掘鉱具・炭鉱地形図などを収集し開館。
ロッコや石炭が地表に露出している場所、当時の職員住宅など観ることができる。

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ここに来る前の訪問地「白水阿弥陀堂」でガイドのおじさんに、日本一貧弱な無料の探鉱史料館あるので是非行ってみてくださいとすすめられ、予定を変更して訪ねてみた。
駐車場は広く、本当に無料?と不安にも思ったが、私たち以外に車は1台停まっているのみで、閑散としていた。

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先ほどのガイドのおじさんによると、炭鉱が閉鎖されるまでは大変な賑わいがあったとのことだが、今はその影も見当たらず寂しささえも感じる。

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第67番:「白水阿弥陀堂」泥中の蓮の花のように(福島県いわき市)

 
早朝だけに出会える歴史浪漫古代ハス(見頃:7月上旬~8月上旬) 国宝

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住所:福島県いわき市内郷白水町広畑221
拝観料:500円
拝観時間:8時30分~16時00分(受付終了15分前)
休み:第4水曜、春分の日、8/12~16、8/24
駐車場:無料
問合:0246-26-7008(白水阿弥陀堂
アクセス:常磐線内郷駅より車で5分
     常磐自動車道いわき中央ICより国道49号旧道を経て、国道6号線水戸方面へ。

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正式名:
山号:菩提山
開基:徳姫(岩城則道の妻:藤原清衡の娘)
寺格:
創建年:1160年(永暦元年)
別称:

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まさか、こんな山間に桃源郷のような場所があるとは・・
浄土もまさにこんな感じだろうかと思わせるほど、陶然とする美しさだった。
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お寺の名称は願成寺だが、ふつうは白水阿弥陀堂の名前で知られている。国宝の建造物であり、福島県で唯一残っている藤原時代の建築だという。この境内は、平泉の毛越寺と同じように浄土庭園としてつくられている。江戸時代、この白水阿弥陀堂は「蓮沼の御堂」と呼ばれていたこともあったらしい。現在、ここで目にすることができるのは、その「蓮沼の御堂」と蓮の池のある庭園で、寺としてはこじんまりしている。
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池の中島にかかっている二つの朱塗りの橋。これを渡りきると対岸の阿弥陀堂につく。白水阿弥陀堂は、平安後期に流行した常行堂の様式で建てられたものだ。念仏三昧という行をする場所が、常行堂である。僧たちはこのなかで、ひたすら「南無阿弥陀仏」と称えながら、無我の境地になって阿弥陀堂の周囲をまわりつづける。
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堂内の黒漆がぬられた須弥壇には、阿弥陀如来観音菩薩勢至菩薩阿弥陀三”とうい構図になっている。浄土の教え、あるいは阿弥陀如来の救済というのは、善行をつんだ人や清らかな人だけが救われるわけではない、この世の泥のなかにまぎれながらも、一生懸命に生きようとしている人もいる。そういうすべての人びとが救済され、浄土へ行けるということが、阿弥陀如来の本願なのである。
「泥中の蓮」という言葉は、たとえ汚れた境地にあっても、それに染まらず清らかさを保つ。「泥中」とは、「煩悩の汚れ」をさすのだという。
死んであの世へ行ったときに、浄土という幸せな世界に行く。それは、もちろんすばらしいことだろう。しかし、それだけでなく、私たちの誰もがこの世でーあたかも泥中で生きている中で、人間らしく幸福にならなければいけないのだ。(百寺巡礼:五木寛之より)

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江戸時代には「蓮の御堂」と呼ばれていたことから、先代の住職が十数年前から株を譲り受けて増やしてきた。一部の古代ハスは、岩手県平泉の中尊寺金色堂から出土した種から発芽したもので、2001年に株分けされた。ハスは早朝開花し、昼には閉じてしまうため午前中がおすすめ。

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久し振りの百寺巡礼の一つに訪れることが出来た。この日は天気も晴天であり、心ウキウキの気分で現地に向かう。いわき市街地からほどなくしてここ「白水阿弥陀堂」に着く。阿弥陀堂正面の近くに市営の無料大駐車場があり、ここに停める。何と東北らしい雰囲気であろうか。駐車場は人影もまばらで、何か寂しげな地である。

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白水阿弥陀堂中尊寺金色堂高蔵寺阿弥陀堂と共に東北の3大阿弥陀堂とのこと。木造平屋建ての内部は中尊寺金色堂をもした極彩色の絵画出で埋め尽くされる。
「白水」の地名は、平泉の「泉」という文字を2つに分けたものという説があるとのこと。浄土を模した庭園であるとのことだが、訪れた時期が悪かったのか、池の水が少なく中尊寺から分けてもらったという蓮は枯れており、残念至極である。
ここ白水阿弥陀堂は、どこの寺にもあるような山門や本堂などの格式の構図がなく、広大な敷地にポツリと阿弥陀堂があるばかりである。それが返って飾らず素朴で東北の風土を感じさせられる。

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池の回りを一周したのち、駐車場まで戻る際、ガイドの男性に子供の頃はここで遊んでいて、今のように有名でなかったとのこと。そしてこの裏手には炭鉱があり、当時はこの阿弥陀堂より賑わっていたという話を聞く。車で5分程度の、日本一貧弱な無料の探鉱史料館あるので是非行ってみてくださいとすすめられたので、次の行く先を「みろく沢炭鉱資料館」にナビを設定する。

夢想滝(落差15m) 弘法大師もここを訪れた (福島県東白川郡矢祭町)

種別:分岐瀑
落差:15m
幅:
到達時間:15分
装備:軽装
難益度:

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住所:福島県東白川郡矢祭町内川
TEL:0247-46-4576(矢祭町事業課)
料金:無料
駐車場:有(118号線矢祭駅前に無料駐車場20台)
アクセス:JR水郡線矢祭山駅下車、徒歩10分
   常磐自動車道那珂ICから車で60分
備考:期間通年(常時開放)

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「あゆのつり橋」を渡り、約200m先には「ふくしまの水三十選」に選らばれた「夢想滝」がある。
弘法大師がこの滝を訪れた際、滝の端で護摩を焚き「無念無想の境地から夢を叶える」と説いたことから、「夢想滝」の名をが付けられたと伝わっている。
落差が約15mもあり、美しく澄んだ流れは、福島の水、三十選にも選ばれている。
滝周辺には夢想滝不動尊が祀られて、地蔵の「おりこうさん」の頭を撫でれば頭が良くなり、「合格さん」で合格祈願もおすすめ。

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「あゆの吊橋」を渡り階段を下りる途中に石碑が立っている。水戸黄門様でお馴染みの徳川光圀の句のようである。

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コンクリートで舗装された狭い道を歩いて行くと、「おりこうさん」の地蔵が現れる。そして更にその先を進むと「合格さん」の地蔵がある。

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ここは滝までの行程に沢山の地蔵がところどころたっている。どうやら夢想滝不動尊がこの先にあり、そのため地蔵が置かれているのだろうか。
道の突き当たりにたどり着く。

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この日は水量が少ないためか、正直これが滝?と少々がっかりした。滝というイメージよりは滴り落ちるといった感じか?

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滝の左端に階段があり、この上に不動産が祀られ、その右側岩壁には「乙女観音」と「そっくり岩」があった。

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あゆの吊橋(福島県東白川郡矢祭町)

延長:62m
幅:1.5m
川面高:不詳 m

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住所:福島県東白川郡矢祭町内川
営業:通年
休み:なし
料金:無料
駐車場:有(118号線矢祭駅前に無料駐車場20台)
アクセス:JR水郡線矢祭駅から徒歩3分
☎:0247-46-4576(矢祭町事業課)

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久慈川に架かる延長62m、幅1.5mの赤いつり橋は矢祭り山のシンボルとなっている。春の桜にはじまり4月下旬から紅色のつつじが一斉に咲きはじめ、秋の紅葉もきれいである。
矢祭山駅を出て右へ進み、踏切を渡ると目に飛び込んでくる。

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備考:あゆのつり橋を渡り、200mほど先に進むと「ふくしまの水三十選」にも選ばれた「夢想瀧」がある。

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福島県の観光地ガイドをみると、決ってこの「あゆの吊橋」が紹介されている。吊橋ファンである私としても是非、いつかは行って見たい場所でであった。
118号線を走り、矢祭駅前にたどり着き線路脇の無料駐車場に車を停める。道を挟んだ反対側には数軒のお土産屋さんが並ぶ。駅ホーム端の踏切を渡ると直ぐに赤い橋が見えてくる。これが「あゆの吊橋」だ。
何とも新しい橋のようにも見えるが、橋の欄干の赤色が鮮明でそう思わせるのかもしれない。橋は62mあるわりにはしっかりとしている。幅1.5mも双方で人がすれ違ってもさほど気にならない。

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橋の中央から見る景色もまた、のどかな面持ちである。
秋の紅葉もきっと素晴らしいのだろう。

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