【カリスマ投資家の教え】川上穣 日経ビジネス人文庫 800円

本書は2014年10月に刊行された『リスク・テイカーズ』の改訂、文庫化
世界にその名を轟かせるカリスマ投資家たちの肖像と運用哲学を日経記者が描くドキュメント
ジョン・トレインによるロングセラー『ファンド・マネジャー』『マネーマスターズ列伝』を継ぐ書
 
文庫化にあたって以下の点を改訂しています。
・第1章「トランプの時代を予見した男 ジェフリー・ガンドラック」を書き下ろしました。トランプ勝利、アベノミクス、米金利上昇など金融市場の変化をことごとく的中させた債券市場のカリスマ、ガンドラックの目に映る新たな世界像とは? 市場はこれからどんな激変に見舞われていくのかを解説します。
・単行本でもっとも反響の大きかった、世界一のヘッジファンドを率いる「レイ・ダリオ」。14年以降の運用状況を加筆しました。
・第3章「ダニエル・ローブ」では、セブン-イレブンなど最近の日本における投資事例を追加しました。
・第7章「人間vs.機械」を追加。AI、ロボットアドバイザーなど、機械による取引やリスクを取らないただ乗りのパッシブ運用が盛んになっています。投資家の存在価値が問われる時代の実相を描きます。
 
トランプ勝利を予言したジェフリー・ガンドラック、世界一のヘッジファンドを率いるレイ・ダリオ、バリュー投資の伝道師ウォーレン・バフェット、経営陣に圧力をかける「物言う投資家」ダニエル・ローブ、空売りで市場に警鐘を鳴らすジム・チェイノス。AI投資の時代にあらがい、戦い続けるカリスマたちの運用哲学とのそ素顔を描く。
 
プロローグ
特別な一群の投資家たちは危機を事前に察知することができた。そればかりか、09年を底にしたその後の長期の強気相場を言い当てることができた。そんあ彼らの透徹した視線は、これからの世界のあり方をどう射程にとらえているのか。本書では、取材を通じて知り得た6人の投資家が登場する。
それぞれが強烈な個性にあふれ、退屈さを感じさせる人間は1人もいない。強い新年を持ち、リスクを恐れずに果敢に市場と向き合ってきた歴戦の猛者たち。彼等はどんな人生を歩み、成功の秘密にたどり着いたのか。
 
<ジェフリー・ガンドラック>・・トランプの時代を予見した男
 
米国有数の債権投資家。「新債権王」の異名をもつ。運用大手ダブルライン・キャピタルのCEO。米国の住宅バブルの崩壊や、ドナルド・トランプ大統領の誕生を予見するなど、独自の分析に基づく読みの鋭さに定評がある。
 1、市場のコンセンサス(大多数による合意)にしたがって投資しない。
 2、希望的な観測は投資の助けにならない。
 3、リスクを考え抜くことが投資で勝ち残る秘訣。
 4「絶対に起こらない」と誰もが言ったら、まさしく「それが起きる」サイン
 
<レイ・ダリオ>・・世界最大のヘッジファンド
 
米世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者。運用資産は約1600億ドル。米金融危機や欧州の債務問題を予見し、2011年は39億ドルの巨額の報酬を得た。世界の株式・債権・為替などあらゆる資産に投資するグローバル・マクロ戦略を採用する。FRBなど世界の中央銀行がもっとも注目する投資家である。
  1. 経済は機械のように動く
  2. 目先の値動きに惑わされず、歴史から学ぶ姿勢を失わない
  3. 投資家は失敗から学ぶことで成功する
  4. 偉大な投資家は攻撃的であると同時に守りも知っている
  5. 運用リスクをヘッジするのに金投資は有効だ
 
<ダニエル・ローブ>・・大物アクティビストの日本上陸
 
米国を代表するアクティビスト(物言う株主)。1995年にサード・ポイントを創業。こわもてで知られ、2012年には投資先のヤフーのCEO更迭を主導した。アベノミクスによる日本の変化を期待し、ソニーセブン&アイ・ホールディングにも投資してきた。運用資産は約140億ドル。
  1. 誰にも負けない投資の情熱を持つ
  2. 自説を曲げない信念の強さが大事
  3. ヨガと瞑想は思考を鮮明にし、投資を成功に導く
  4. 投資でたくさんのことを知っている必要はない
  5. 相場の局面ごとにもっとも重要な本質を見極める能力を持つ
 
<ジム・チェイノス>・・中国に挑む空売り
 
1985年に空売り専門のキニコス・アソシエーションをニューヨークで創業。運用資産は約60億ドルと、空売りファンドとして世界最大級。2001年に経営破綻した米エネルギー大手エンロンの不正会計を見抜いたことで知られる。金融犯罪や投機事件の歴史に精通し、母校であるイェール大学で教鞭を執る。
  1. 市場は往々にして間違える。
  2. 常に疑問を持ち、経営者の言葉をうのみにしない
  3. 空売り投資は企業の不正をあぶり出す探偵役
  4. アナリストリポートに頼らず、企業の開示資料を独力で読む
  5. 経営幹部の辞任や自社株売却は空売りの好機
 
<デイビッド・アインホーン>・・リーマン危機の預言者
 
有力ヘッジファンド、グリーンライト・キャピタル創業者。2008年に破綻したリーマン・ブラザーズの経営不振を見抜いた、空売りの旗手。買いも手掛け、アップル株を長期保有している。96年のファンド設立以来の運用利回りは年率約20%。14年にりそなホールディングスへの投資を明らかにするなど日本市場への関心も高めている。
  1. 強い意志をもち、辛抱強くあること
  2. 確信が持てる銘柄だけに投資する
  3. 空売りはある日突然大きな利益がである
  4. 投資で大切なのは負けないこと
 
ウォーレン・バフェット>・・オマハの賢人、バリュー投資を語る
 
世界的に著名なバリュー投資家。米中西部ネブラスカ州オマハを拠点にし、「オマハの賢人」とも呼ばれる。長期の成長が見込め、企業の本源的な価値に比べて割安になった企業に投資する手法で、一代で世界有数の富豪になった。投資会社バークシャー・ハザウェイのCEOでもある。主な投資先はIBMアメリカン・エキスプレス、コカ・コーラなど。
  1. 自分が惚れ込むビジネスをしている企業に投資する
  2. お金を借りて投資しない
  3. 短期的な儲け話には「NO」と答えなさい
  4. 他人の市場予測に耳を傾けても無駄
  5. 投資で成功するのに専門家である必要なない
 
 
<人間VS機械>・・
 
20180705完読
『リスク・テイカーズ』は以前から読みたいと思っていたが、今回文庫版の発売に伴い廉価でもあり手に取る。カリスマ投資家として日本でもその名を馳せるファンド。到底一個人の投資スタイルには及ばないものの、そこに至るまでの信念・技法・考え方は大いなる感慨を与えてくれる。参考になるかと問われれば、到底無理だと思わざるを得ないが株投資に足を踏み入れるには、こうした面々が入ることを念頭に入れておくべきことだろう。個人には個人の戦い方があるはず。どう構築していくべきか?限られた資金と時間の中で、長期・中期・短期、そして自己の戦法を創り出していかない限り振り回されて、大事な資産を減らすことになるのだろう。また、バフェットの言うように米国市場主体の中のグローバル戦略という位置づけを考慮すると、その環境に大きく左右される。しかし、国内の個人投資家にも株投資で財を成した投資家は大勢いる。まだまだ勉強不足を痛感する。

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